病院嫌いにも原因がある
世の中には「病院嫌い、行きたくない」と、病院に対して強い拒否反応を示す人がいます。本来、物事の好き嫌いなんてごく個人的なことである以上、生活に支障が出なければそれで構いません。
しかし、病院嫌いの場合、あきらかに生活に支障が出ます。ずっと健康診断で再検査の指示が出ていたにも関わらず、病院が嫌いだからという理由で受診しなかったことで体調を崩し、気が付いたときいにはもう手遅れだったという話も少なくありません。
このような背景を考えると、病院には行った方が良いのは明らかです。病院嫌いの人は、なぜ嫌いなのか原因を考えることで、良い対処法が見つかるかもしれません。
ここでは、病院嫌いになる5つの原因と対策を考えてみました。
原因1.トラウマがある
1つ目の原因は「病院にトラウマがある」ことです。たとえば
- 家族・親族や友人ががんなどの重い病気で長期間の闘病の末亡くなった
- 子どものころ、病院で診察を受けたら医師の対応が乱暴で傷ついた
人は、病院そのものに対して良いイメージが持てないでしょう。
対策.かかる病院を考える
少なくとも、家族などの身近な人ががんなどの重い病気を患っていた場合、同じ病院にかかるのが心理的に抵抗があるという人がいても珍しくありません。
- その病院の医師との信頼関係が築けている
- 自分や家族の病気の治療実績が優れている
などの決め手になる理由がなければ、別の病院にしてもかまわないでしょう。嫌な記憶を呼び起こす羽目になる場所には、自分から足を運ばない方が無難です。
また、子どものころの記憶が原因で病院が嫌いになった場合も、場所を変えることで改善に向かいます。
昨今は、医学部においても患者との対話の重要性を意識した授業が行われているため、昔ほど患者に強く当たる医師は多くありません。
コミュニケーションスキルが高く、患者の話をよく聞いて、不安を取り除こうとしてくれる医師の方が圧倒的に多いです。もちろん、患者への当たりが強い医師もいますが、そのような医師に当たったら変えてもらう権利も患者にはあります。
あくまで「どんな医師にかかるかは、自分が決める」という気持ちで臨めば、決して嫌な思いをすることもないでしょう。
原因2.症状をうまく伝えられない
2つ目の原因は「症状をうまく伝えられない」ことです。
- 医師に「どうなさいましたか?」と聞かれてもしどろもどろになる
- 医師から質問をされてもあいまいな返答に終始する
などの悩みを抱えている人、と考えるとわかりやすいでしょう。
対策.事前の準備を入念にする
そもそも、症状をうまく伝えられないのは、自分の頭の中で情報が整理されていないためです。医師から質問をされたとしても、うまく答えられない場合は、まずは情報を整理することを心がけましょう。
有効なのが、メモを作っていくことです。
- いつから症状が出たのか
- 何をするとひどくなるか、和らぐか
- 今の自分(家族)の症状
- 症状が出ている場所
- その他の情報
の5つについては、必ず盛り込みましょう。
口頭で説明できないと思ったら、メモをそのまま医師に渡してもかまいません。
なお、詳しいメモの作り方は、以下の記事でも解説しています。
また、医師からの説明を受けている際も、メモを取ると効果的です。
もし、医師が早口でメモを取るのが追い付かないという場合は、医師の許可を得て話を録音させてもらうと良いでしょう。簡単な操作で医師の話をしっかり録音できるアプリ「診察ノオト」を事前にインストールしておきましょう。
原因3.疲れる
3つ目の原因は「疲れるから」です。
- 色々な人が出入りしている
- 消毒薬や飲食物など、様々なもののにおいが入り混じる
- 医師の診察や治療の内容がわかりにくい
ことから、常に緊張を強いられていることで、疲れが出てしまうと考えましょう。
対策1.人が少ない時間帯を狙っていく
どんな病院であっても、1週間のうち人が少ない時間帯と多い時間帯の差があるものです。
病状が安定していて、特定の医師の診察を受けることを希望しているわけでもないのなら「人が少ない時間帯」を狙っていくのも、疲れを貯めないためには有効でしょう。
対策2.人が少ない医療機関を狙っていく
緊張を強いられたくないなら、いっそ受診する患者が少ない医療機関を狙うのも1つの選択肢でしょう。
病気・ケガの中でも、大学病院クラスの大規模な病院で治療を受けなくてはいけないものはごくわずかです。本当に必要な患者に医療が行き届くようにするためにも、病状次第では敢えて街中のクリニックや病院に行くのもありかもしれません。
大規模な病院に比べると出入りする人も少ないうえに、入院患者がいなければ飲食物を出すこともありません。医師と話す時間も取れることが多いので、緊張を強いられることも少なくできます。
原因4.治療に不安がある
4つ目の原因は「治療に不安がある」です。
そもそも、病院を含めた医療機関で受ける診察・治療は、まったく医学知識がない人から見ると「一体何のためにやるのか」わからない代物かもしれません。加えて、注射など、身体的苦痛を受ける治療も多く存在します。
そして、これらの診察・治療にあたって「何のために、どういうことを行うのか」という説明も不十分であることが少なくありません。
残念なことに、不安を口にしたら「必要なんだから我慢するように」と言ってくる医師もごくわずかではいるため、さらに不安が増幅するでしょう。
対策1.コミュニケーション不足に気を付ける
治療に不安がある場合、医師と患者とのコミュニケーションが不足していることが考えられます。
医師から治療について提案があった場合、まずは「何のために、どういうことを行うのか」を聞いてみましょう。
気が利く医師であれば、丁寧に解説してくれるはずです。時間がない場合は、製薬会社などが作成しているリーフレットを渡してくれるでしょう。
一方、患者側も自分の状態を医師に伝える努力が必要になります。
- 不安に思っていること
- 苦手なこと
は、包み隠さず、医師や看護師に伝えるようにしてください。
例えば、注射が嫌いな場合は「注射が苦手なので、顔を背けていても良いですか?」と一言いえば、たいていの医師や看護師は事情を察してくれます。
対策2.自分からも情報収集をする
また、がんや心疾患などの難しい病気はもちろん、そうでない病気であっても、自分から情報収集をすれば不安が薄れることもあります。医師・看護師に聞くのはもちろん、同じ病気の患者会・患者家族会などを頼っても良いでしょう。
「何をされるのかがわからない」こと不安は「何をされるのかを知る」ことでしか解消できません。受け身にとどまるのではなく、自分からも積極的に動きましょう。
原因5.待ち時間が長い
5つ目の原因は「待ち時間が長い」ことです。具体的に何分以上なら長いと感じるのかは人それぞれですが、さすがに2時間待ちともなると大抵の人が長い、と感じてしまうでしょう。
そして、診察は10分未満で終わることが多いので「診察を受けるより待っている時間の方が長いんですけど」とげんなりしてしまうかもしれません。
実際のところ、病院の待ち時間は1時間未満であることが多いですが、長いと感じるかどうかは主観次第です。
対策.予約制の病院・クリニックを選ぶ
病院をはじめとした医療機関の待ち時間は、他の患者の状況によって左右される部分があるので、何をすれば短くなるかが一概には言えません。しかし、予約制でない病院・クリニックの場合、当日足を運ぶ患者が何名になるのかは、スタッフですら把握できません。
そういう意味では、当日足を運ぶ患者が何名になるのか、ある程度予測ができる予約制の病院・クリニックを選んだ方が、ストレスは軽減できます。
もちろん、急患が入ってきた場合は、優先順位をつけて治療をしなくていけないので、後回しになることは覚悟しておきましょう。
そのほかにもこんな理由が考えられます
これまでに挙げた以外にも、病院に行きたくない理由として以下のものが考えられます。
- 密状態になっているので、病院に行くことで別の病気を引き起こしそうで怖い
- 近くに病院がないため、行くだけで体力が奪われる
- 医師、看護師に対して苦手意識がある
これらの問題についても、病院を吟味したり、待ち時間が短い日程を選んだり、医師・看護師とのコミュニケーションを図ることで、改善は見込めます。