窓口で待たずに済む!病院の後払いシステムのメリット・デメリット

病院の後払いシステムとは

大学病院など、一部の大きな病院では後払いシステムが導入されています。

会計窓口に寄らずにそのまま帰宅できる

後払いシステムとは、所定の手続きを事前に行うことで、病院で診察・治療を受けた際の医療費を後日支払うことができるシステムのことです。


一般的な医療費後払いサービスの利用の手順は以下の通りです。

  • スマートフォン、パソコンで事前登録を済ませる
  • 当日診察を受けた後、後払いサービス利用者の専用窓口に立ち寄る
  • 予約票の受け取りになどを済ませたらそのまま帰宅する
  • 後日、メールで決済完了の通知が届く

病院の後払いシステムのメリット

ここで、病院の後払いシステムのメリットについて考えてみましょう。

時間の節約になる

わかりやすいメリットとして「時間の節約になる」ことが挙げられます。大学病院など大きな病院の場合、毎日たくさんの患者が外来に訪れます。

そのため、診察・治療を受けるまでに時間がかかりがちであるのはもちろん、会計を済ませるまでにも待たなくてはいけません。

後払いシステムを利用すれば、専用の窓口に立ち寄ってそのまま帰宅すれば良いので、時間の節約になります。

感染症対策になる

病院を訪れるのは基本的に何らかの病気を抱えている人や、その家族です。健康な人であれば何ら問題はない細菌・ウイルスであっても、このような人たちにとっては、命に関わるほどの症状を引き起こす原因になったりもします。


そのような背景を考えると、病院に滞在する時間はできる限り短くした方が良いでしょう。後払いシステムを利用すれば、通常の会計手続きよりははるかに滞在時間を短くできます。

お互いを守るためにも、後払いシステムを利用することはプラスになるはずです。

防犯上プラスになる

病院は患者やその家族以外にも

  • 医師、看護師などの医療従事者
  • 受付担当などの事務職員
  • 食堂、売店などの店員
  • 製薬会社の営業担当
  • リネン類などの交換業者
  • 清掃業者

など、様々な人が日々出入りしている場所です。

もちろん、病院側も患者やその家族、スタッフの安全の確保には細心の注意を払っているため、警備員に巡回させたり、防犯カメラをつけたりと最大限の対策はしています。

それでも、窃盗が起きる可能性をゼロにはできません。外来で診察を受けていた場合であっても、ちょっと目を離した隙に財布やカバン、スマートフォンなどが盗まれるのは珍しくないのです。

防犯という観点では、可能な限り病院に行く際は多額の現金を持ち歩かない方が良いでしょう。後払いシステムであれば、登録に用いたクレジットカードと診察券、健康保険証があれば診察が受けられます。

手荷物もかなり少なくできるので、防犯上の観点からも優れているのです。

また、医師とのやり取りを記録するためにメモと筆記用具を持ち歩いている人も多いかもしれませんが、これをスマホでの録音にすると一気に荷物が減らせます。あらかじめ「診察ノオト」をインストールしておけば、録音したいタイミングで起動すればOKです。

ポイントが貯まる

病院の後払いシステムを使う場合、クレジットカードが必須となります。そして、クレジットカードを使うと利用金額に応じたポイントが付与されるのです。

定期的に通院している人であれば、毎回の支払いをクレジットカードで行うことで、1年間にかなりのポイントが貯まる可能性もあります。

どちらかと言えばおまけに近いメリットですが、お得なことには変わらないので試してみると良いでしょう。

病院の後払いシステムのデメリット

一方、病院の後払いシステムにはデメリットもあります。

全ての病院で導入されているわけではない

そもそも、後払いシステムは全ての病院で導入されているわけではありません。病院のロケーションと規模次第ですが、クレジットカードでの医療費の支払いすら対応していない病院も多々ある以上、後払いシステムともなると導入されている病院はかなりの少数派でしょう。

もちろん、経済産業省がが日本におけるキャッシュレス決済比率の向上を目指した「キャッシュレス・ビジョン」を発表したり、日本医師会が会員に対するキャッシュレスシステムの導入支援を行ったりなど、医療現場でもキャッシュレス決済の導入は進んでいます。

しかし

  • キャッシュレス決済を導入する際のコスト
  • 決済手数料が差し引かれることへの抵抗感
  • 事務処理フローの大幅な変更

など、解決すべき課題も多いことから、後払いシステムを含めたキャッシュレス決済の導入に消極的な医療機関はたくさんあります。

「自分が通っている病院で使えたらラッキー」くらいに考えておきましょう。

全ての支払いに使えるわけではない

後払いシステムを導入している病院であっても、すべての医療費の支払いに使えるわけではありません。なお、大阪大学附属病院では、後払いシステムが使えないケースとして以下の5つが指定されています。

  • 入院費の支払い
  • 各種公費医療制度を利用している人の支払い
  • 妊産婦検診、乳幼児健診の受診券(クーポン)を使った人の支払い
  • 医療費の未払い分が残っている人
  • 治験中の人

この辺りは病院によって異なるため、確認しましょう。

事前登録を行わないといけない

医療費後払いシステムを使うためには、事前に登録手続を行わなくてはいけません。一般的な手順としては、専用のWebサイトにスマートフォンやパソコンでアクセスし、必要事項を入力することになります。

慣れている人であればさほど難しい手続きではありませんが、スマートフォンやパソコンに不慣れの人の場合は少々てこずるかもしません。これらの手続きが面倒くさい、という人にはあまり向いていないでしょう。

領収書は改めて発行しないといけない

このあたりも、病院によって多少の差はあるので確認が必要ですが、医療費後払いシステムを利用した場合、領収書は後日、院内の専用発行機から発行する必要があります。「あとで手続きすれば良いや」と後回しにしてしまいがちになってしまうという欠点があります。

医療費控除をしようとする人は領収書が必須であるため、この点に注意は必要でしょう。

クレジットカードが必須

ある意味最大のネックになるのが、医療費後払いシステムを利用するためには、クレジットカードが必須であるということでしょう。

  • 無職、専業主婦、年金生活者であるなど安定継続した収入がない
  • 過去にクレジットカードやローンでのトラブル(金融事故)を起こした

などの理由でクレジットカードが作れない場合、医療費後払いシステムを利用するのは極めて難しくなります。

デビットカードやプリペイドカードはNG

なお、医療費後払いシステムはデビットカード、プリペイドカードなどは使えない仕様になっていることがほとんどでしょう。

医療費後払いシステムは「後払い」と書いてある以上、実際の決済額が後日決定され、事前に登録したクレジットカードに対して請求が行われることになります。

つまり、サービス(診察・治療)の提供と実際の決済のタイミングがずれているため、サービスの提供と実際の決済のタイミングが同時である前提で設計されているデビットカードやプリペイドカードは使えないのです。

もちろん、医療費後払いシステムを使わず、病院に設置されている自動精算機や窓口での支払いであれば、デビットカードやプリペイドカードも使えることがほとんどです

病院によってはクレジットカードの指定があるケースも

また、病院によっては所定のクレジットカードでのみ医療費後払いシステムが利用できるという設計になっているケースもあります。

例えば、慶應義塾大学病院の場合、医療費後払いシステムを「エクスプレス会計」という名前で運用していますが、利用するためには提携カードである「KEIO MED EXPRESS CARD」が必要です。

提携先であるライフカードは比較的審査に通りやすいと評判のクレジットカード会社ではありますが、それでも100%審査に通るとは限らない以上、利用できない可能性もあるでしょう。

デポジット型クレジットカードを使うという選択肢もある

慶應義塾大学病院のように、利用するクレジットカードの指定がある場合は難しいかもしれませんが、そうでない場合はデポジット型のクレジットカードで医療費後払いシステムを利用するという選択肢もあります。

デポジット型のクレジットカードとは、クレジットカード会社にデポジット(保証金)を預けることで、通常のクレジットカードと同じように利用できるカードのことです。

先ほど紹介した慶應義塾大学病院の提携先でもあるライフカードが「デポジット型ライフカード」という名前で発行しています。

出典:デポジット型ライフカード | クレジットカードはライフカード

「時間を節約したいし、荷物をたくさん持ち歩くのも怖い。でも、クレジットカードはちょっと」と思う人は、検討してみましょう。

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