病院の口コミはどこまで信頼すべき?騙されないための4つのチェックポイント

病院を口コミで選ぶのはアリか?

レストランや美容室などを選ぶ際、口コミを参考にして選んでいる人は多いかもしれません。たしかに「このレストランの料理はおいしかった」「あの美容室でカラーを頼んだけどいまいちだった」などの情報は、どの店舗にするかを選ぶ上で多いに参考になるでしょう。

昨今では、病院やクリニックなどの医療機関も口コミで選ぶ人は少なくありません。確かに、自分や家族の健康にかかわることである以上、不快な思いをしたくないという心理は理解でききます。

しかし、病院やクリニックの口コミをうのみにしたからと言って、自分が望む医療を受けられるとは限りません。かえって「こんなはずじゃなかった」と落胆する結果にもなりかねないのです。

そこで今回は、病院に関する口コミを見る際のチェックポイント4つ、解説しましょう。

チェックポイント1.客観的事実に関連するコメントだけを見る

1つ目のチェックポイントは「客観的事実に関連するコメントだけを見る」ことです。

自分や家族にとっての「良い病院」とは何か?

客観的事実に関連するコメントだけを見た方が良いのには、れっきとした理由があります。

それは「良い病院」の定義が人によって異なるためです。

例えば、次の2つの病院があったとしましょう。

  • A.医師が親身になって話を聞いてくれるが、待ち時間がとにかく長い(2時間待ちはざら)
  • B.医師は話をあまり聞いてはくれないが、経験が豊富で短時間で的確な診断をしてくれる

このうち、どちらを良い病院としてとらえるかは

  • その人の考え方
  • 診療科の性質

によっても異なります。Aの病院の方が自分に合っていると考える人にとっては、Bの病院の対応が冷淡に映るかもしれません。


一方で、Bの病院の方が自分に合っていると考える人にとっては、Aの病院の対応が「遅い」と感じるのでしょう。つまり、その人の主観次第でどっちともとれる情報については、あまり参考になりません。

参考にするなら

  • 施設がきれいか
  • 待ち時間は長いか、短いか
  • 混雑緩和のために何か工夫をしているか

などの物理的な事実に基づくコメントに絞りましょう。

チェックポイント2.口コミがあまりに少ない病院は警戒する

2つ目のチェックポイントは「口コミがあまりに少ない病院は警戒する」ことです。

口コミが少ないのはなぜか?

そもそも、口コミが少ない病院やクリニックがなぜ存在するのか、考えてみましょう。一般的な理由として考えられるのは

  • 開院から時間が経っていないため、患者の絶対数が少ない
  • 開院から時間は経っているが、患者に高齢者が多く、口コミの投稿もない
  • 悪い口コミばかりだったので片っ端から削除させている

の3つです。

このうち「悪い口コミばかりだったので片っ端から削除させている」以外はさほど問題はありません。体調が優れないものの、緊急を要する状態でなければ足を運んでみても良いでしょう。


問題なのは「悪い口コミばかりだったので片っ端から削除させている」病院やクリニックだった場合です。悪い口コミが単なる病院やクリニックに対する誹謗中傷の場合もあるので一概には言えませんが、運営に問題を抱えている可能性も少なからずあります。

そして、病院やクリニックであっても、通常の会社と同じように収益をあげていかないといずれは運営が立ち行かなくなるのです。このため、ネガティブな口コミはできる限り削除させたいと思っても不思議ではありません。

家族や友人、知人に聞いてみるのも1つの手段

結局のところ、口コミが少ない病院やクリニックであっても「なぜ、口コミが少ないのか」という理由は様々です。


このような場合は、口コミで判断するのではなく、実際に顔が見える相手(家族、友人、知人)に「うちの近所のあの病院(クリニック)言ったことがあったら教えて」と聞いてみるのをおすすめします。逆に、聞かれた場合は快く答えてあげると良いでしょう。

なお、かかっている病院・クリニックについて家族、友人、知人に教える前に「普段、どういう雰囲気で診察が進んでいるのか」についても見直した方が良いです。「診察ノオト」に録音した診察の様子を聞き返してみても良いでしょう。

チェックポイント3.あまりに良い口コミばかりの病院にも警戒する

3つ目のチェックポイントは「あまりに良い口コミばかりの病院にも警戒する」です。

良い口コミの裏事情

レストランや美容室など、医療機関以外の口コミであっても、あまりに良い口コミばかりが続くと「おいおい本当かい」と疑ってしまう人もいるでしょう。

本当にきわめて卓越したサービスを提供しているのであれば何ら問題はありませんが、実はその口コミが「やらせ」である場合も考えられます。つまり、良い口コミを書いてくれる人に対して報酬を払うことで、口コミ上は良いレストランや美容室であるよう見せかけることはできるのです。

病院やクリニックの口コミに対しても、同じことを行う余地は確かにあります。特に、Google以外の病院・クリニックの口コミサイトは、広告としての側面も有しているため、あまりに悪い口コミばかりが続くと広告としての効果も薄れてしまうのです。

このような事情を鑑み(表ざたにはしないものの)、悪い口コミが投稿されても掲載しないという措置を取る口コミサイトは存在するのでしょう。

Googleでも安心できない

また、Googleの口コミは投稿した内容がそのまま掲載されるため、悪い口コミであってもそのまま掲載されます。
しかし、昨今はこの点に着目し、「評価が3.5以下なら大変」などと営業構成をかけ、病院やクリニックの口コミを書き換えるというビジネスまで出てきました。

参照:病院の口コミ、改ざん業者が高評価に書き換え…「評価3・5以下なら大変」と営業攻勢 : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン

どこの病院・クリニックがこのようなサービスを使っているのかは全く分かりませんが、このような話もある、という点は頭の片隅にとどめておきましょう。

本来は広告規制の対象

関連して、厚生労働省が設けている医療機関の広告に関する規制にも触れておきます。厚生労働省は「医療広告ガイドラインに関するQ&A」を公表していますが、この中でも口コミに関する規制に言及されています。

Q2-9 医療機関のウェブサイト上の口コミ情報は、広告規制の対象でしょうか。

A2-9 患者等の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談は、今回新たに規定された広告禁止事項です。特に、当該医療機関にとって便益を与えるような感想等を取捨選択し掲載するなどして強調することは、虚偽・誇大に当たるため、広告できません。

出典:厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」

チェックポイント4.口コミには限界があることをわきまえる

結局のところ、口コミを100%信頼するのには限界があります。いっそ、迷った場合は口コミ以外の情報で判断した方が良いでしょう。その際に利用できる情報を紹介します。

院長の経歴

病院・クリニックのWebサイトには、院長の経歴が掲載されています。

  • 出身高校、大学
  • これまでの職歴(勤務先となった病院等の医療機関)
  • 専門分野
  • 医学博士号を所持している場合は論文のタイトル
  • 標榜している専門医資格
  • 所属している学会、団体

などが一覧になっているので、これらを確認しましょう。

例えば、産婦人科の病院・クリニックの場合は

  • 大学病院のNICUや周産期医療センターでの勤務経験がある
  • がん治療拠点病院での勤務経験がある

などの経歴をチェックすれば「大体、どんな分野に強いのか」がわかるはずです。

医療機関が開示している情報

大学病院やそれに準ずる規模の病院であれば、

  • 医療の質指標(QI)に関する報告
  • 患者満足度調査の結果
  • 臨床指標(DPC)に関する報告
  • 患者の声

などを公式Webサイトで開示していることが多いです。これらの情報をチェックするのも「その病院に対する客観的な評価」がわかるため、役に立ちます。

自分が求めるものを改めて考えよう

既に触れたことですが「良い病院・クリニック、医師」の定義は人それぞれです。言い換えれば「自分が医療に対して求めるもの」とリンクしています。

  • 親身に話を聞いてもらい、自分に合った治療法を探りたい
  • まずは最先端の技術を用いて、効率的に治療を進めたい
  • 家族ぐるみで相談できるホームドクターとしての役割を担って欲しい

など、医療に対して求めるものが違えば、望ましい病院・クリニック、医師のあり方も異なります。

もちろん、どちらが良くて、どちらが悪いとかいう話ではありません。最後は「自分や家族が納得いく方法で進めてくれること」を重視して決めましょう。

また、自分だけではわからない、という場合は家族にも意見を求めたほうが良いかもしれません。医師とのやり取りの音声があれば、大きな参考になります。「診察ノオト」を使って録音し、大切な人に聞いてもらいましょう。

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