病院の待ち時間は長すぎ!?実際のところを調べてみた

病院の待ち時間が本当に長すぎるのか実際のところを調べてみた

自分や家族の付き添いで病院に行くと、待ち時間が長くて疲れてしまった経験は、多くの人がしているかもしれません。どのぐらい待たされたら長いと感じるのかは人それぞれですが、1時間を超えてしまうとさすがに大抵の人が「待ち時間が長すぎる」と思ってしまうでしょう。

そこで、実際のところ、病院の待ち時間はどれくらいなのか、厚生労働省が出しているデータをもとにひもといてみましょう。

実は1時間未満が約7割

厚生労働省が発表した「平成29年受療行動調査(概数)の概況」によれば、病院の種類別にみた外来患者の診察等までの待ち時間は、以下のようになっていました。


平成29(2017)年の総数における比率だけを抜粋したのが、こちらの表です。

待ち時間の長さ 比率
15分未満 26.1%
15分~30分未満 23.1%
30分~1時間未満 20.4%
1時間~1時間30分未満 10.5%
1時間30分~2時間未満 6.9%
2時間~3時間未満 3.8%
3時間以上 1.6%
無回答 7.6%

出典:厚生労働省「平成29年受療行動調査(概数)の概況」

この表を見てもわかるように、全体の約7割が「待ち時間は1時間未満」という結果になりました。

実は思ったより、病院の待ち時間は長くない場合が大半なのかもしれません。

2時間超えもわずかながらいる

一方で、病院の待ち時間が2時間を超えるケースもわずかながらにあります。平成29(2017)年の総数だけを見ても

  • 2時間~3時間未満:3.8%
  • 3時間以上:1.6%

という結果になりました。ここまで来ると、病院に行くだけで一日の大半が終わってしまいそうな長さです。

小さい病院では15分未満が3割以上

一方、小さな病院(小病院 = 特定機能病院、療養型病床群を有する病院及び老人病院以外の一般病院で、病床規模が20床 ~ 99床の病院のこと)では、待ち時間が「15分未満」が全体の32.4%を占めています。

つまり、受付を済ませてちょっと待てばそのまま診察に進む人が3割はいるという事です。

病院の待ち時間が意外に短い理由は?

厚生労働省が発表した「平成29年受療行動調査(概数)の概況」を見る限りは、病院の待ち時間は意外に短いのかもしれません。

ただし、2時間超えをするほど長いケースも一定数あるため、実際に待たされた人の声を聴いてしまうと「病院は待ち時間が長い」というイメージを持ってしまう人もいるのでしょう。ここで、病院の待ち時間が意外に短い理由を考えてみました。

1.予約してから行く人が多い

病院などの医療機関においては

  • 医師、看護師などスタッフの人員に限りがある
  • いつ急患が入ってくるかわからない以上余力を持たせたい
  • 感染症対策のためにも、同じ時間帯に患者が集中しないようにしたい

などの理由から、初診・再診を問わず、一部の例外(急患など)を除き、事前の予約を必須にしていることが多いです。

特定の日時に足を運べば、少ない待ち時間で診察が受けられることも、待ち時間が意外に短くなる理由の1つに挙げられるでしょう。

ネット予約を導入する病院も増えている

従来、病院を予約するためには電話を使うことが必須でした。しかし、近年では初診・再診の予約をネットで受け付けている病院も増えています。

初診は電話のみであるものの、再診であればネットOKという病院も珍しくありません。これにより、より多くの人が予約を済ませた状態で病院に行けるようになったのです。

2.大きな病院は紹介状が必須

「大きな病院に飛び込みでかかるとお金がかかるから、紹介状を用意していくと良い」という話を聞いたことがある人は多いはずです。実はこの話は、病院の待ち時間の緩和にも役立っています。

選定療養費とは

平成28(2016)年に健康保険法が改正され、選定療養費に関する規定が設けられました。病床数(ベット数)が200床以上の病院であれば、所定の手続きを行うことで、紹介状なしで初診・再診を受けた人から特別料金を徴収することができるようになりました。

なお、実際に徴収する金額は病院によってまちまちですが、高いと1万円を超えるケースもあります。

そもそも、この制度は病院と診療所(クリニック)の役割分担のために設けられました。仮に、クリニックで対応できるような軽い病気・ケガであっても「どこに行けばよいかわからないから」「最初から大病院で診てもらいたいから」と大きな病院に足を運ばれたのでは、混雑は避けられません。

緊急で対応が必要な患者に対応できなくなる恐れがあることから、紹介状を用意してくるのを基本とし、用意できない場合は特別料金を徴収するシステムにしたのです。

3.診察時間が短い場合はすぐに順番が回ってくる

仮に、待たされたとしても患者1人あたりの診察時間が短ければ、すぐに順番は回ってきます。

大抵の人の診察時間は10分未満

先ほど紹介した「平成29年受療行動調査(概数)の概況」では病院の種類別にみた外来患者の診察時間に関するデータも盛り込まれていました。

総数についてのみ抜粋したのが以下の表です。

診察時間の長さ 比率
5分未満  28.5%
5分 ~ 10分未満38.1%
10分 ~ 20分未満 12.7%
20分 ~ 30分未満 6.6% 
1時間30分~2時間未満 30分以上4.7%
2時間~3時間未満 3.8%
3時間以上 1.6%
無回答 9.4%

出典:厚生労働省「平成29年受療行動調査(概数)の概況」

大抵の人が10分未満で終わっていると考えてよいでしょう。

診察科によってもかなり違うので注意

もちろん、実際にかかる時間はその人の容態や診療科によっても異なります。

皮膚科や眼科のように、目に見える部分に症状が現れる病気を扱う診療科では、医師が短時間で症状を判断し、適切な対応を行うことができるため、診察時間も短い傾向があります。

一方、精神科や心療内科など、患者の話に耳を傾け、原因を探っていかないといけない診療科では、どうしても時間が長くなりがちです。

急患が入ってきた場合はそちらが優先になる

また、特に大きな病院(病床数が多く、二次救急、三次救急の指定を受けている病院)であれば、他の病院で受け入れができなかった重症・重篤患者を受け入れなくてはいけないことが多々あります。

仮に、そのような患者が殺到した場合、医師や看護師は優先順位をつけて診察・治療に当たらなくてはいけません。外来患者の場合、自力で病院までたどり着ける人が多いことから、どうしても優先度は下がってしまいがちになります。

医療の目的の1つに「救える人を1人でも多く救う」ことがある以上、優先順位をつけて対応するのは当然のことであるため、このあたりはある程度仕方がないと割り切りましょう。

待つ羽目になってしまったら?

結局のところ、病院の待ち時間はイメージほど長くない場合がほとんどですが、待つ羽目になってしまうことは往々にしてありえます。そのときのために、待ち時間をどう過ごすかも予め決めておいた方が良いでしょう。

待ち時間の暇つぶし方法

病院内でできる待ち時間の暇つぶし方法について考えてみました。

人間観察

服装や表情を見て

  • この人は普段何をしている人なのか
  • 付き添っている人との関係

など、さまざまなことを考えてみると、意外に暇がつぶせるようです。

人によって好みが分かれるかもしれませんが、興味があるなら一度試してみましょう。

やることリストの作成

仕事や家事の合間に病院に来ているなら、帰った後に何をやるかを考えなくてはいけません。効率的に済ませるためにも、やることリストを作成しておくと効果的でしょう。

本や雑誌を読む

古典的な方法ではありますが、本や雑誌を読むのも良い暇つぶしになります。大きな病院であれば、院内に書店やコンビニがあるので、そこで調達しても良いでしょう。

資格試験の勉強をしている人であれば、合間に参考書やアプリで勉強を進めましょう。

ゲームをする

のめりこみすぎに注意が必要ですが、ゲームは良い暇つぶしになります。

なお、病院によっては防犯上の観点からゲーム機の持ち込みが禁止されているケースもあるので、注意してください。

カフェに行く

大きな病院であれば、院内に喫茶室やチェーン店のカフェが出店していることがあります。待合室ではなく、このような場所に足を運んで一息つくのも、気分転換になるのでおすすめです。ただし、席を離れる際は、受付の職員に一言伝えていくと良いでしょう。

これまでの医師の話を整理するのもアリ

定期的に通院している病院であれば、これまでの診察で医師と何を話したのかを整理するのも良い暇つぶしになります。医師の話を録音できるアプリ「診察ノオト」も使い、家族で情報共有ができるように整理しておきましょう。

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